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再生エネの直接調達拡大、小売り介さず割安に 経産省:日本経済新聞(5/15)

発電所が遠隔地であれば規模も大きくしやすい

太陽光や風力など再生可能エネルギーの企業の利用を促すため、経済産業省は新たな調達の仕組みをつくる。離れた発電施設から電力を購入する際は、これまでは小売事業者を介さなければならなかったが、このルールを緩和する。国全体で脱炭素化を進めるため、企業の調達コストを抑えて再生エネの普及・拡大につなげる。

夏までに電気事業法の省令改正をめざす。政府全体は2050年の温暖化ガス排出量実質ゼロに向け、30年度までに13年度比で排出量を46%減らすと決めた。原子力発電所の再稼働がなかなか見込めない中、再生エネの普及がカギになる。

いまの電気事業法では企業の再生エネ調達に制約がある。本社や工場などと離れた発電施設から、電力を自由に購入できる環境にはなっていない。同じ企業グループ内の発電施設から融通する以外、小売事業者を必ずはさむ必要がある。

企業側からルール変更を求める声が出ていた。国の聞き取り調査で、ソニーグループは発電施設からの直接購入について「調達手法の多様化を図るうえで有効だ」と指摘した。同社は事業に必要な電力すべてを40年度までに再生エネにする目標を掲げる。

規制緩和に伴い、自社グループと関係のない発電事業者からも直接購入ができる仕組みになれば、支払う電気料金を抑えることにもつながる。

再生エネで発電された電気は固定価格買い取り制度の下で電力会社が一定期間、買い取る。この費用は電気料金に上乗せする形で国民全体で広く負担してきた。

この費用を小売事業者が徴収してきたのがこれまでの仕組みで、金額は現状1キロワット時あたり3.36円。日本鉄鋼連盟によると、電力の使用量の大きい鉄鋼業で418億円(18年)と、負担の重さを懸念する声が多かった。

直接調達は料金の徴収役の小売事業者を介さないためコスト減になるが、ほかの企業や消費者の負担が重くなる面もある。経産省は公平性を担保する制度設計を詰める。

米アップルが再生エネを使って部品を製造するよう取引先に求めるなど、サプライチェーン全体で環境への負荷を減らす動きが広がる。日本企業もその例外ではなく、どのような電力をどこから調達するかが問われ始めている。気候変動問題への対応が遅れると金融市場から敬遠され、投融資を受けにくくなるといった弊害も出かねない。

現状では日本で企業が再生エネを使いたい場合、小売事業者から「証書」を買う場合が多い。ただ20年度の証書の取引量は150億キロワット時分で、再生エネの発電量の10分の1以下の水準にとどまる。経産省はこうした再エネ普及への障害を一つ一つ取り除く必要があると判断した。

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