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三菱自動車、200万円切る軽EV 価格競争広がり普及期に:日本経済新聞(6/24)

EVを購入するのは富裕層や企業が中心だった(独フォルクスワーゲンのEV)=ロイター

電気自動車(EV)市場で価格競争が広がってきた。三菱自動車は国内で2023年度までに軽自動車の商用EVを200万円未満まで約2割値下げする。日本勢のEVで最安水準となる。仏ルノーは今秋、現行EVの半額程度の新型車を欧州で出す。買い手の裾野が広がる普及期に入り、大衆化で先行する中国勢との競争が激しくなる。

本体価格はガソリン車よりなお高いが、EVの補助金や走行に使うガソリン代や電気代なども勘案すると、ガソリン車に近いコスト競争力を持つ車種が小型車では出てきた。

三菱自は現在240万円強からで販売している商用EV「ミニキャブ・ミーブ」を安くする。電池などを低価格の最新のものに替える。1回あたりの航続距離は150キロメートルを維持する。

東南アジアでは23年に軽自動車サイズのEVを200万円前後で出す。タイで年1万台生産する。ハイブリッド車(HV)分と合わせて新設備に190億円を投じる。現地で販売している最も安い自社のガソリン車は170万円程度だ。

ルノーは傘下の「ダチア」ブランドから低価格EVを出す。航続距離を230キロ、最高時速は125キロに抑え、フランスの場合で約226万円とする。中国で生産し逆輸入することで「欧州最安EV」をうたう。独フォルクスワーゲン(VW)も25年にも2万ユーロ前後のEVを売り出す。

EVの低価格化をけん引するのが、原価の3~5割を占めるとされる電池の生産コストの減少だ。20年までに12年比8割下がった。中国や欧州で量産が進んだことが大きい。

三菱自のミニキャブ・ミーブの場合、同クラスのガソリン車との価格差は現在約130万円あるが、値下げで約90万円まで縮まる。ただ、EVには10万円単位の補助金がつく。政府は車種によって異なるが最大で42万円を支給。東京都など独自の補助をする自治体もある。

「燃料費」の違いを勘案すると価格差はさらに小さくなる。次世代自動車振興センターによると、日本で10万キロ走った場合、ガソリン車の燃料代は69万円なのに対してEVの電気代は31万円。車両の実質価格の差が38万円を切るとガソリン車とEVの価格競争力が逆転する計算だ。

海外の主要国もEV普及を後押しするために補助金を拡充している。中国では機能を徹底的に絞ることでガソリン車より安い約50万円まで価格を下げたEVが登場し、販売台数を伸ばしている。

日本では佐川急便が中国製EVの大量導入(7200台)を決めた。日本勢がシェア8割を持つ東南アジア市場にも中国EVは出始めている。三菱自の加藤隆雄社長は「今後は中国勢がライバルだ」と話す。

英調査会社LMCオートモーティブによると、EVは20年に世界で214万台売れた。新車全体に占める割合はまだ3%だ。これが30年には2330万台に増え、比率は24%に上がる見通し。英国など欧州を中心に30~40年にはエンジン車の販売が禁止される。

EVの購入者は主に富裕層や企業だったが、価格差が縮まると、消費者の意識も変わる可能性がある。「車載電池の価格が半分以下になる2030年になれば、ガソリン車とEVの価格が同水準まで近づく」(アーサー・ディ・リトル・ジャパンの粟生真行マネジャー)

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