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電気料金、強まる上昇圧力 11月は年初比13%高 LNG・原油高騰の余波、年明けまで続く公算:日本経済新聞(10/12)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC06BV10W1A001C2000000/

 

化石燃料を多く使う電力会社ほど電気料金の上げ幅が大きい(千葉県富津市の富津火力発電所)

資源価格の上昇が家計の重荷になりそうだ。主要4電力で11月の家庭向け料金は年初から平均13%高くなる。原子力発電所の再稼働が進まず、価格が上昇している液化天然ガス(LNG)や石炭などへの燃料依存度が高いためだ。今冬も料金高が続く可能性があり、消費の下押し圧力になりかねない。

東京電力ホールディングス関西電力中部電力九州電力の小売部門が毎月下旬に公表する家庭向け電気料金の推移をまとめた。

2021年11月の標準家庭の電気料金は東電だと7371円、関電は7007円、中部電は7026円、九電は6699円になる。関電の料金が7000円を超えるのは、標準家庭の電力使用モデルを改めた16年以降初めてだ。

年初からの料金上げ幅は東電で17%、中部電は16%、関電は10%、九電は8%。前年同月の20年11月に比べても上げ幅は7~14%だった。

東電の場合、21年1月の電気料金のもとになった20年8~10月の燃料費の平均は1キロリットル換算で2万1800円。11月料金に反映する21年6~8月燃料費は同3万7600円と7割超も上がった。

火力への依存度が高いほど料金の上げ圧力は強まる。最も上げ幅が大きい東電で、20年度の電源構成に占める石炭やLNGなどの火力の割合は78%に達する。原発はゼロだ。一方、原発を再稼働させた関電と九電の火力の割合はそれぞれ62%、48%にとどまる。

電気料金の上昇傾向は少なくとも年明けまで続く公算が大きい。

ニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物の期近物は8日、一時1バレル80ドルを超え約7年ぶりの高値を付けた。オーストラリア産の発電用石炭や欧州の天然ガス価格は最高値を更新。足元の燃料価格は22年1月以降の電気料金にはね返る。

マーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘代表は「厳冬ならLNG需給はさらに逼迫して価格も上がる。そうなれば来年夏ごろまで電気料金の上昇は続く可能性もある」と予想する。

ガソリン・灯油価格の動向も懸念材料だ。資源エネルギー庁によると、4日時点の全国のレギュラーガソリンの店頭価格は1㍑160円。灯油(配達価格)も同107.8円で、いずれも年初来で約2割高く、3年ぶりの高値を付けた。

円安も原油の輸入コストを上昇させ、ガソリンや灯油の価格を押し上げる要因になる。11日の東京外国為替市場では円相場が一時1㌦=113円台前半と2年10カ月ぶりの水準まで下落した。ガソリン価格は年内にも約13年ぶりの高値となる170円台に到達する見方が出始めており、灯油もさらに値上がりする公算が大きい。

8月の電気、ガス、自動車等整備(ガソリン含む)が消費に占める割合は10%強だ。例年、1~2月にかけて同割合は13~14%に上がる傾向があり、エネルギー価格上昇が顕著なだけに今冬はさらに光熱・燃料費の負担が重くなりそうだ。

企業活動に影響を及ぼす懸念もある。法人向け電気料金は家庭向けのように燃料費の上昇分を転嫁する制度はない。通常、工場や事業所ごとに電力会社と相対で価格を決める。ただ電力会社の間では「燃料費が上がれば吸収できない。顧客企業にも転嫁せざるを得ない」(関西のエネルギー関連企業)との声も出始めている。

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