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中国が商用EV対日輸出 東風など1万台、競合なく:日本経済新聞(10/11)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC056MB0V01C21A0000000/

 

SBSHDに供給されたEVトラック(東京都墨田区)

中国の自動車メーカーが商用の電気自動車(EV)で日本に攻勢をかける。東風汽車集団系などが物流大手のSBSホールディングス(HD)に1万台の小型トラックの供給を始め、比亜迪(BYD)は大型EVバスで4割値下げを目指す。世界的な脱炭素の動きを受け、物流大手はEVシフトに動くが、日本車メーカーの取り組みが遅れており、価格の安い中国車を選んでいる。出遅れた日本車メーカーは早期に巻き返さないと国内市場を奪われかねない。

中国自動車大手、東風汽車集団のグループ会社である東風小康汽車は、SBSHDに1トン積載のEVトラックの供給を始めた。EVスタートアップのフォロフライ(京都市)が設計し、東風小康が生産。SBSHDは2030年までに別の中国メーカーに発注する1.5トン車と合わせて、計1万台のEVの供給を受ける計画だ。

1トン車の価格は補助金なしで380万円ほどで同じようなディーゼル車とほぼ同価格。22年1月から本格的に輸入する。国の補助金も見込めるため、「現行のトラックに比べてコストは安くなる」と判断した。今後5年で配送の協力会社に使用を促す分も含め国産ディーゼルトラックから順次切り替える。航続距離は300キロメートルで宅配などに使う。

東証1部上場のSBSHDは配送時の温暖化ガス排出を減らそうとEV導入を模索したが、現状では国産の1トン積載型が市場になく、日本車メーカーに生産依頼をした場合は1000万円ほどかかるとみている。

小型トラックは7月にトヨタ自動車いすゞ自動車などが設立した商用EV企画会社にスズキやダイハツ工業なども参画すると発表したものの日本勢の出遅れが鮮明だ。20年の小型バンの国内市場は23万台。ネット通販の伸びに伴い、宅配需要が増え、中国EVが広がる可能性がある。商用車は決められたルートで事業者が使用し、乗用車に比べて、充電インフラの確保や保守メンテナンスが容易で参入しやすい面がある。

SGホールディングス(HD)傘下の佐川急便も中国・広西汽車集団からEV軽自動車、7200台の供給を受けることで今春合意。広西は22年から輸出を始める。SGHDは軽車両のすべてをEVにすることで二酸化炭素(CO2)を19年度比で1割削減できるとみている。

BYDは日本で販売する80人乗りの大型EVバス「K8」の価格を4000万円から26年をめどに4割値下げを目指す。ディーゼルバスと同程度となり、国の補助金も活用できる。日本法人、ビーワイディージャパン(横浜市)の花田晋作副社長は「同業との競争に伴う技術革新により、低コストでの投入が可能になる」と説明する。BYDは日本で小型を含むEVバスを50台以上販売済み。大型EVバスを30年までに累計約2000台販売するとしている。

習近平(シー・ジンピン)指導部は市場規模世界一の「自動車大国」から独自ブランドが世界に浸透する「自動車強国」への転換を目指している。エンジン車では性能、ブランド力ともに日米欧勢にかなわなかった。部品点数が少ないEVへの転換が始まり、中国第一汽車集団はノルウェーにEVの多目的スポーツ車(SUV)の輸出を始めている。

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