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再生エネ比率倍増、30年度エネ計画決定 具体策乏しく:日本経済新聞(10/22)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA219PZ0R21C21A0000000/

 

政府は22日の持ち回り閣議で、国のエネルギー政策の方向性を示す新たなエネルギー基本計画を決定した。2030年度に発電量のうち36~38%を再生可能エネルギーで賄う目標を掲げる。19年度の18%から倍増させる。50年の温暖化ガス排出量の実質ゼロをめざし、再生エネを本格的に大量導入していく。

改定は3年ぶりで、中長期の気候変動対策を示す地球温暖化対策計画や、50年までに実質ゼロにするための長期戦略なども決定した。

10月末に英国で開かれる第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)までに国連事務局に提出する温暖化ガスの排出削減目標(NDC)についても、地球温暖化対策推進本部で決定した。30年度に排出量を13年度比で46%削減する目標や方策をまとめた。

エネルギー基本計画では排出量の4割を占める発電部門で30年度の新たな電源構成を示した。発電量のうち再生エネで36~38%、原子力で20~22%、燃焼しても温暖化ガスを排出しない水素やアンモニアで1%、石炭や天然ガスを使う火力で41%をめざす。再生エネは19年度の実績から2倍増、原子力は3倍超でハードルは高い。

再生エネについて「最優先の原則で導入に取り組む」と記載したが、倍増させられるかは不透明だ。太陽光発電は設置場所が限られ、「山林を切り開くと費用がかかるため海外に比べてコストがかさむ」(太陽光発電協会)。欧州で普及する洋上風力発電所は30年度には本格導入にまでは至らない。

コストの低減に向け、自然エネルギー財団の木村啓二上級研究員は「2000キロワット未満の中規模の太陽光発電所の開発を続けられる環境の整備が重要だ」と指摘する。まとまった土地を確保するため、自治体が再生エネ導入の促進区域を定めたり、政府が規制緩和によって荒廃農地の活用を後押ししたりする取り組みが欠かせない。

原発も課題は多い。30年度の発電比率を達成するには稼働を申請した27基の原発の全基のフル稼働が求められる。ただ東京電力福島第1原発事故後、再稼働したのは10基にとどまっている。運転の可否を決めるのは安全審査を担う原子力規制委員会と地元で、政府の掛け声で再稼働が進むかは見通せない。

原発の建て替えや新設は盛り込まなかった。事故を起こした日本で国民の理解はまだ得られないと判断した。ただ原発の運転期間は40年が原則で、延長しても60年までで、建設済みの原発33基すべてを60年運転したとしても、50年に20基、60年に5基にまで減る。

計画には「可能な限り依存度を低減する」とする一方で「必要な規模を持続的に活用する」としており、ちぐはぐな印象は拭えない。原発は有力な脱炭素電源だが、将来像はおぼつかない。

エネルギー基本計画は7月に原案をまとめ、10月4日まで一般からの意見募集(パブリックコメント)を受け付けた。その結果、「原発事故の教訓をふまえ、リスクを最小限にするため万全の対策を尽くす。万が一事故がおきた場合は国は責任を持って対処する」との表現を加えた。原案にはなかったがこれまでの基本計画には記載されていた内容だ。

11年の原発事故をうけ、日本のエネルギー政策は迷走した。電源構成における再生エネの比率は約2割なのに対し、英国やドイツはすでに4割を超えている。再生エネの導入拡大で日本は欧州先進国に後れを取った。日本では火力発電の比率がまだ高い。欧州では温暖化ガスの排出量の多い石炭火力を巡っては廃止期限を設定して減らす動きも相次いでいる。

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