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電気料金の上昇長期化 LNG高騰で1月も値上げ圧力:日本経済新聞(10/22)

大手電力3社の12月の電気料金は11月に比べて約2%上昇する見通し

電気料金の上昇が長期化している。発電に使う液化天然ガス(LNG)など燃料費が高騰しているためだ。大手電力3社の12月の電気料金は11月に比べて約2%上昇する見通しで、2022年1月以降も上昇が続く公算が大きい。割安な価格を売り物とする新電力の経営にも影響する。暖房需要の高まる冬場に向けて家計を圧迫しそうだ。

電気料金は燃料価格を自動反映する「燃料費調整制度(燃調)」を踏まえて決められ、3カ月分の平均燃料価格を2カ月先の料金に反映する。

一般的な家庭の12月の電気料金を7~9月に輸入した燃料価格から算出すると、東京電力ホールディングスは前年同月比約18%増の7485円程度と、16年の電力小売り全面自由化以降で最高値となる見込みだ。関西電力は約11%増の7095円程度、中部電力は約16%増の7150円程度になりそうだ。

電気料金を押し上げているのは、発電に使うLNGの高騰だ。日本向けのスポット(随時契約)価格は3月ごろから上がり始めた。9月には欧州ガス危機の影響もあり、前年同期比5倍超になった。石炭や石油なども上がっている。足元の燃料価格は22年1月以降の電気料金に反映されるため、電気料金の上昇が当面続く。

約800社に上る新電力にも影響を及ぼす。新電力は小売りする電力の大半を卸市場からの調達に頼っている。「卸価格はLNGスポット価格と相関がある」(電力中央研究所の松本拓史主任研究員)ため、LNG高騰による経営への打撃が大手電力より大きい。

通常、新電力の電気料金は大手電力より数%安い。燃料費高騰を受け、新電力の電気料金の見直しが相次ぐ可能性が出てきた。

日本卸電力取引所の卸電力価格は10月に一時1キロワット時あたり50円を超え、9カ月ぶりの高値をつけた。21年10月の平均価格は21日時点で12円と、20年10月の2倍強だ。「卸市場はパニック状態になっている」と新電力の担当者は話す。

東京大学の松村敏弘教授は「再生可能エネルギーの導入で市場構造が変化したことも背景にある」と指摘する。火力発電所の休廃止が進む一方、天候で出力が変動する太陽光発電が急増。「秋から春先にかけて卸電力価格が急騰しやすくなった」という。

寒波の影響でLNGが不足し卸市場が急騰した20年12月~21年1月には、卸価格が一時1キロワット時250円を超える場面があった。新電力が電力を確保できず大手電力に肩代わりしてもらうためのペナルティーを払うケースが続出。3月に新電力大手のF-Power(エフパワー、東京・港)が会社更生法の適用を申請するなど、経営破綻が相次いだ。

電力自由化で参入企業は増えたが電気料金の上昇が続き、消費者に恩恵が行き渡っていない。

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