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ソフトバンク、基地局から無線給電 イヤホン電池不要に:日本経済新聞(11/5)

ソフトバンクの基地局設備

ソフトバンクは全国にある携帯電話の基地局を使い、無線で電気を飛ばす給電技術を実用化する。将来はワイヤレスのイヤホンやスマートウオッチなどを電池なしでも使えるようにする。総務省が近く規制を緩和するのに合わせて実証実験を始め、早ければ2025年に事業化する。無線で電気を送る新たなインフラの登場は多様な機器やサービスの開発につながる。

ワイヤレス給電の実用化に向けた技術開発を京都大学、金沢工業大学、情報通信研究機構(NICT)と共同で進める。

基地局に送電用の機器を設置し、高速通信規格「5G」に使う28ギガ(ギガは10億)ヘルツの高周波帯域を使って電気を送る。人体に影響がないよう、まずは1ミリワット程度の小さな電力を半径10メートルほどの範囲に飛ばす。距離は将来、100メートル程度まで伸ばせる。

無秩序に電気を飛ばすと電波の干渉などのトラブルが起きかねないため、政府が規制している。無線給電は後押しする方針で、今年度中にも省令を改正して複数の周波数帯域を割り当てて、まず屋内での利用を認める。24年ごろには屋外でも使えるようにする計画だ。

ソフトバンクは全国に20万の基地局を持つ。従来の4Gを順次5G向けに置き換えており、通信に対応した地域では無線給電も使えるようにする。対応機器を持ち必要な契約をした利用者は、基地局の近くを通過するだけで自動的に充電できるイメージだ。

電池交換をせずにデジタル機器を使い続けることができるようになるため、まずは盗難防止の電子タグなどでの活用を見込む。体内に埋め込んで健康管理をするセンサーも実用化しやすくなる。

調査会社のリサーチ・アンド・マーケッツによると、無線給電の世界市場は26年に153億ドル(約1・7兆円)と現在の2・3倍に拡大する。専用機器の上にスマートフォンなどを載せて使う国際規格「Qi(チー)」は日本を含む各国で使われている。米国では米オシアやパワーキャストがスマホやゲーム機に電波を飛ばす機器を販売。中国でも小米(シャオミ)が参入するなど世界的に開発競争が加速している。

日本ではパナソニックが温湿度センサーなどと一体化した名刺サイズの受信部品を開発している。住宅やオフィス、工場、インフラの点検などへの利用を目指す。

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